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原始焼き導入ポイント

原始焼きとは

 原始焼きとは、高く積み上げた炭火から放出される赤外線の輻射熱で串焼きする調理方法をのことで、現在の飲食店経営に置いて大変重要視されている「体験型飲食店」への導入が急速に進んでいるものす。
原始時代の焼き方に近いであろうという名ですが、古民家などで行われてきた昔ながらの囲炉裏串焼きを2015年あたりから、飲食店での演出的な焼き方として、原始焼きという名で流行りだしたものです。
 ここでは原始焼きを飲食店に導入する前の基礎知識として、最低限のポイントを解説いたします。
原始焼きはこれから進化する業態で「独自性、独創性」を存分に発揮できる業態です。逆に言いますと、単なる原始焼きの店では必ず厳しくなります。原始焼きをベースにした新たなポジションを見つけていただけますよう、このページが多少なりともお役に立てれば幸いです。


原始焼きと炉端焼きの違いは?

◆原始焼き
原始焼きは、高く積み上げた炭火から放出される赤外線による「輻射熱」で串焼きする調理方法です。
◆炉端焼き
日本の伝統的な和食・居酒屋で、客前で焼き上げる体験型飲食店の元祖ともいえる形態です。もともとは囲炉裏での炭火焼きですが、現在は炭火、ガス火、電熱の何れかを用い、焼き方はさまざまです。
「原始焼き」という言葉が定着していないため、「炉端焼き」と言われることも多いですが、そのうち「原始焼き」と「炉端焼き」を区別して使われるようになると思います。



目次


集客力抜群! ブームは続く?



究極の調理方法がベース

 原始焼きは世界中の高級レストランなどにも広がりつつあり、今では「Genshiyaki」という言葉が日本料理の一つとして認知され始めているほどです。
その要因の基本ベースは、輻射熱での「究極的な炭火焼き」という、世界中のシェフ達が興味をもつほどの日本古来の調理の基本スタイルであること。そして一時的なブームではなく、将来的に継承される要因、美味しい、リピートされる、視覚的に楽しい調理方法であるということがベースにあります。そのためブームで増えたお店はある程度淘汰されるかもしれませんが、ピザ窯、備長炭焼鳥、鉄板焼き、などと同様に一定数が継続されると思われます。
 2026年現在、日本国内において、まだこれから店舗数が増え続けると思われ、今まさに世界中に拡散されようとしており、体験型飲食店の新たなカテゴリーとなりそうです。


説明

原始焼きは、日本食の新たなカテゴリーに・・・ これからの進化が期待されます。



原始焼きは「集客装置」

 原始焼きを検討される飲食店の皆様は、おそらく「集客」を目的に原始焼きの導入を考えられていると思います。
原始焼き囲炉裏は調理設備に違いありませんが、むしろ「集客装置」として見るべきもので、典型的な体験型飲食店(エンタメ飲食店)を作る装置で、お客様の「集客」と「客単価を上げる」装置として見るべきものです。もし集客装置として使わないなら電熱調理と大差ないと思います。
コロナ禍以降、デリバリーやハイクオリティーな冷食の普及、アウトドアでの食事体験を経て、飲食店において美味しさは最低条件になりつつあり、その空間、その時間の特別な体験が重要になっています。
 原始焼き店は現在流行している典型的な体験型飲食店(エンタメ飲食店)です。ただ、今後は原始焼きのお店も増えると予想されますので、単なる原始焼きのお店ではなく、他店と差別化できる独創的なプランが必要になります。産直を活かした食材や独自の調理法、料理と酒のペアリング、口コミで広がる名物料理、よりエンターテイメント性のある演出などなど、今後はここでしか体験できない「独創的な強み」が絶対条件になると思われます。あの○○○な原始焼きを食べに行こう!と言わせる○○○が必要です。 そして集客装置である以上、より多くのお客様が体感できる店づくりが何よりも肝心です。体感できるカウンター席の数が多いこと、店外から見えること、しっかりと料理を演出できること、原始焼きという舞台の活用方法を徹底的に考えていただければと思います。


SNSでの露出度は

 原始焼きはお客様から、時間経過と共に焼け具合が見える数少ない調理方法です。
そのため「だんだん美味しそうになってきた」が見え、早く食べたい、という期待感を高め、そのビジュアルから写真だけでなく、動画撮影も多くSNSでの露出度が高いことは確かです。皿に盛られた料理だけの撮影とは異なります。 味の記憶や表現は曖昧ですが、写真や動画は明確で拡散しやすいです。


説明

焼きあがる過程が見える



インバウンドに強い

 海外のゲストにとって日本の「食」は最大の旅の目的です。日本での食の体験を重視し、記録したいという思いがあり、この傾向は日本人より明らかに強く、単なる「食事」ではなく、“日本らしい特別な体験” を求められています。原始焼きは日本の伝統的な調理方法を体験できる場として、とてもわかりやすく、写真や動画に残しやすいビジュアルを提供することができます。
 また、海外ゲストは串焼きが大好きで、日本の高級食材を求めているため、ビジュアルでの訴求が強い原始焼きは集客しやすく、SAKEと原始焼きなど日本独自の様々なペアリングが強く刺さるようです。



多様な料理でコース料理の設定も


説明

牡蠣やホタテなどの貝類をはじめ、
スモークチップで風味付けも可能です。


説明

炭火で仕上げる熱燗は格別です。




売り上げは? 客単価は?



原始焼きで売り上げUP?

 原始焼きを導入すればどのくらいの売り上げがあるか? それは高度な難題です。飲食店の売り上げ予測の計算方法は種々あるようですが、いずれもほぼ根拠のない予想計算で、あてになりません。もし計算できるなら、1年後の閉店率30%以上(日本の飲食店平均)などあり得ないです。
 ただ、楽しい皮算用は可能です。 今、計画されている飲食店に原始焼きが、ある時、無い時、の比較をするのです。原始焼きの店で原始焼きをオーダーされる確率は、90%以上が普通です。
仮に、原始焼き1本平均1,200円、原価40%で粗利が720円。1日30オーダーとして、21,600円/日。×月24日営業として、518,400円/月の粗利がUPされるという計算ができます。
所詮、捕らぬ狸の皮算用ですが、月に518,400円UPで稼げるなら、原始焼き設備にどのくらい投資しようか?というイメージがしやすいと思います。


客単価は高い傾向に

 原始焼き専門店の客単価は一般的な居酒屋さんや炉端焼き屋さんと比べ、1.3〜1.5倍前後の客単価となるようです。実際に調査に出向きましても確かにそのくらいはあるように思います。
 高級魚、和牛、牡蠣などコース料理仕立てで、客単価2〜3万円も十分にあり得ると思います。

高単価の要因は

1)体験型飲食店である

〇原始焼き店には「その空間や時間を消費する(コト消費)」という付加価値が働くこと。
〇視覚と嗅覚によりメニューを見る前に脳が刺激され、衝動注文を誘発しやすいこと。
〇炭火で焼かれつつある、他人のオーダー品が目立ち、誘発されやすいこと。
〇調理プロセスが可視化されているため、複雑な調理代を除く、食材そのものの原価に投資する感覚が強いこと。

2)高く売りやすい

原始焼きには高級食材が多く、見栄えのする大きな食材を使うこと。一般的な焼き魚に比べ、同じ魚でも高価格で売りやすいこと。またお客様はその贅沢が目当てで少し気合が入っており、当然のことながら高単価になります。

3)長い調理時間がメリットに

原始焼きの調理時間は20〜30分と長いですが、焼き上げるまでの待ち時間にスピードメニューの工夫により、ドリンク注文を促しやすく、酒単価を上げやすいというメリットがあります。

4)インバウンドに強い

前述のように、海外のゲストにとって日本の「食」は最大の旅の目的です。日本での食の体験を重視し、記録したいという思いがあり、この傾向は日本人より強く、和牛やノドグロなどの高級食材を求めるため高単価になりやすく、また世界的な冷酒(SAKE)ブームもあり、酒量が多くなる傾向にあります。

5)ハレの日に強い

もちろん店内装飾によりますが、囲炉裏を囲む原始焼きの空間は、鉄板ステーキと同様にハレの日の食事として認識されやすく、記念日や接待など高価格コースや高級日本酒などプレミアムな商品が選ばれやすいです。

6)SNSに強い

高級食事の映える写真や動画が撮れることは、お客様の満足感を高め、高いお金を払う理由を見出しやすくします。


究極の炭火焼き?



輻射熱で焼く

 炭火の横方向にも飛ぶ「輻射熱(赤外線電磁波)のみで焼くため、対流熱の影響を受けない焼き方です。輻射熱は光同様に炭火の全周に飛び、対流熱は炭火から上昇する熱い空気や炎のことです。
 原始焼きは輻射熱のみが食材表面に均一にあたるため、焼むらができにくく、綺麗な焦げ目がつき、食材の中まで火が通りやすく、表面パリッ!中はホクホク、いわゆる理想的な焼き方となり、究極の炭火焼と言われています。



輻射熱(赤外線)のみで焼きあげる

説明

こちらの図はご自由にご使用いただけます。


まんべんなく、こんがり焼けて、中まで火が通りやすい



牛肉の原始焼きが究極の焼き方と言われる理由

牛肉は火が通っていながら、鮮やかな赤色が残ります。赤くても暖かい状態で、表面はパリッとしています。
これはまさに輻射熱が成しえる技で、赤外線という電磁波による加熱です。特に遠赤外線は肉の中まで入りやすく、肉の分子を振動させて加熱します。言ってみれば電子レンジのような温め方をするのが輻射熱(赤外線)です。


そのお味は?

〇炭火特有の焼き上がりで、食材の良し悪しが分かりやすい

 超シンプルな調理方法で、味付けもほぼ塩のみ、いわゆる表面パリッ!中がジューシーという最高の焼き方は、原始焼きに勝るものは無いかもしれません。
この特有なふっくらした焼き上がりが絶妙な触感を生み出し、うま味成分を完全に封じ込めた状態で、食材のもつ本来の美味しさを引き出しやすいのです。
 また煙の影響がないため、食材そのものの味を感じやすく、食材の良し悪しが分かりやすい焼き方です。
そのため「よい食材が入手できる」のであれば、それがより一層の強みになります。

△燻煙風味は付かず、ガツンとくる炭火らしい味はない

 逆に一般的な炭火焼きと異なり、炭火特有の味付けはできません。
一般的な炭火焼きは、食材の脂が炭火に落ち、強烈な煙がでるため食材に炭火特有の燻煙風味を付けます。
炭火焼き鳥の美味しさは、この影響がとても大きいのですが、原始焼きではこの風味は付きません。 
※スモークチップで香りづけすることは可能です。

調理時間は長い?

調理時間は長いが期待感はUP

 対流熱を使わないため、相当な強火にしない限り、一般的な炭火焼に比べると調理時間は長くなります。 火力と食材の大きさによりますが、15〜30分ほどかかることが多いようです。 しかし、自分のオーダーした食材がじっくり焼けてゆく過程を見ることが大きな魅力となり、美味しさへの期待感を高めます。調理時間が長くてもストレスなく、体験型の飲食になり決して短所とは限りませんので、メニューの工夫でメリットに。
原始焼きは「待ち時間の価値」を売る商売と言われるほど・・・
待ち時間は期待の時間、活かす工夫を!


調理は難しい?

食材により難しくありません

 食材の下ごしらえや串打ちを除けば、原始焼きの調理は比較的簡単なことが多いです。食材の厚みで炭火との距離を測り、焼き色で視覚的にタイミングを判断できるため、度々食材が変わらない限り、ある程度の経験値があると比較的簡単な調理です。炭火の上で焼く一般的な焼き方と比べてゆっくり焼けるため、焼き上がりのタイミングが図りやすく、さほど付きっ切りになる必要もなく、神経を使わないです。
また、炎が当たらないので、むらなくこんがりした焼き色が付きやすく、輻射熱で中まで火が通りやすいという、調理のしやすさがあります。網を使わないので魚の皮も綺麗に残しやすいです。
 但し、牛肉など肉厚な食材は「切り方」と「焼き方」のバランスが難しいです。
少なくとも日本料理、割烹や鮨の技術に比べると簡単な調理で、経験の浅い若い調理人も主役になっておられることが多いです。


設備は?



煙が出ない?

〇原始焼きだけでは煙は出ません

 食材と炭火の位置関係で、食材の上に脂が落ちないので煙はほぼ皆無です。
鉄板やフライパン調理のような油煙もなく臭いも少ないため、炭火料理なのに煙がでない!ということで原始焼きを始めるお店も多いのです。

但し、灰に落ちた脂が煙を出すことがあります

 灰に落ちた脂が炭火の輻射熱で加熱されると、条件により少し煙がでることがあります。
その部分の脂を取り除くと煙を防ぐこともできます。

換気設備は?

換気・防火の対策のための「給排気設備」が必要です。

法規制の概要はこちら
加えて、周囲に住居のない郊外型店舗でない限り、臭気対策のための「消煙・脱臭装置」が必要になります。
原始焼きに限れば煙がかなり少ないことは確かですが、ある程度の臭気は出ますし、強い煙の出る炭火焼きを併用する可能性もありますので、近隣への臭気対策が必要です。もし近隣からの苦情がありますと設備の追加工事や「悪臭防止法」が適用され営業できなくなってしまう可能性もありますので、煙の強弱にかかわらず、まずは内装工事を依頼する業者さんに相談いただき、慎重な対策が必要です。
ダクト工事は囲炉裏設備よりはるかに高額になることも多く、物件探しの時に自身で判断せず費用面をよく相談、確認してください。
※既存店は簡易な設備であっても、新規店、改装店は規制が厳しいです。

〇木灰が舞います

 原始焼きに限れば、フライパン調理のような油煙や油跳ねは少ないですが、木灰がかなり舞います。
燃焼中の炭火からはフワフワの木灰が生まれ、上昇気流にのって舞い上がります。
特に空調の風があたると広く飛び散りますので、場合によってはガラスで煙突上に囲い、強制的に吸引する必要があります。
説明

天井まで囲いを作って木灰を吸引します


説明

換気扇が真っ白になりますが油煙は少ないです。



周囲は熱い!

×炭火の周囲はとにかく熱い →耐熱ガラスの設置

 炭火の周囲は魚が焦げるほどの強い輻射熱が飛んでいますので、かなり熱いです。七輪や炭火コンロのような囲いがないため、2、3m離れていても夏季であれば座っていたくないほどの熱を感じますので、近くに客席があれば耐熱ガラスで遮熱する必要があります。 
 炭火近くの耐熱ガラスは、触ると火傷するのでは?と思うほど熱くなりますので、客席との距離が近い場合は、二重ガラスする方がよいかもしれません。
 また、スタッフの方も側近に長時間立っていることができないので、作業位置や方法に配慮が必要です。

説明

右カウンター席への熱を防ぐため、
ガラス1枚では防ぎきれず二重に。


説明

耐熱ガラスに触れると熱いので、手元のみ二重ガラスに。




続く(製作中)









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