開業前から知っておきたい
法規制と危険回避のポイント
物件探し、店舗設計に役立つ知識を
不特定多数が出入りする飲食店には、法規制があるため、物件探しや店舗設計時に役立つ、最低限知っておきたいポイントをまとめました。
難しい法規制は専門家に任せるとして、「法規制の目的」を知っておけば、大きなトラブルや後悔を防げると思います。
物件探しのポイントは、給排気設備(ダクト)
物件を探される場合は、「炭火が使える物件」であることはもちろん、給排気設備(ダクト)が整っているか、工事ができるか、近隣への臭気対策ができるかをよく確認してください。
店内が煙ってしまい衣服に臭いがつく、たびたび警報器が鳴る、冷暖房が効かない、近隣から臭気の苦情がくる、など営業に支障がでても後からでは対策できない!という事態も多いです。
物件によっては、既成の配管に制限があり、そもそも炭火調理に満足な給排気設備の工事ができないこともあり、工事の難易度や費用を事前に確認する必要があります。
※給排気設備の工事費用は思いのほか高額になりますので、ご注意を!
〇ポイント 調理方法により油煙の排出が大きく変わりますので、メニューの事前検討も必要です。
・原始焼きで「輻射熱調理」のみ行う→ 油煙は少ないです。
輻射熱調理の詳細はこちら
・一般的な炭火焼の「対流熱調理」も併用する→油煙が強烈で、輻射熱調理の5倍、10倍、それ以上の油煙がでます。
〇排気設備
近隣への臭気が問題になる場合は、給排気設備に加えて「消煙設備」の導入が必要かもしれません。
居抜き物件を探す!
経費を削減するには、給排気や消煙設備のある焼肉店や焼鳥店の居抜き物件を探す方法もあります。
このあたりは難しいので、専門業者さんにご相談を!
法規制(建築基準法、消防法/火災予防条例)
不特定多数が出入りする炭火料理店には様々な法規制があります。
〇内装制限 →火事にならないよう、壁や天井に燃えにくい材料を選ぶ
〇給排気設備 →店内空気の入れ替え、煙・臭気の処理、その設備の防火対策
〇囲炉裏の構造 →不燃材の使用や構造の工夫
〇離隔距離 →壁面から囲炉裏までの距離
囲炉裏設備の法規制の概要はこちら
ここからは、オーナーさんの責任が大きい
万一、事故が起こった際に「知らなかった」ではすまされない!
炭火を使用する飲食店のオーナーさんが最低限チェックすべき法規制と、事故を未然に防ぐことのできるポイントです。
死亡事故、重い後遺障害が残る!
一酸化炭素中毒(CO中毒)を防ぐ
一酸化炭素は透明で見えず、臭いもない、気づきにくい有毒ガスです。
どのような種類の木炭からも常に排出されます。
1)炭火使用中は絶対に換気を止めないこと
暑いから、寒いから、冷暖房が効かないから、と言って換気を止めるのは厳禁です。
2)一酸化炭素(CO)警報器を設置すること
信頼できる日本製の警報器を設置してください。
火災警報器に「CO警報」機能があるとは限りません。「煙」や「温度」ではなく「CO」探知が必要です。
▲業務用 CO警報器
こちらの製品はガス会社が提供するもので、一般販売はしていません。
ガスをご使用でしたら設置されていると思いますのでご確認ください。
囲炉裏の使用場所が側近でしたら兼用されます。
一般販売品について
一般販売されているCO警報器は多数ありますが、必ず信頼できる日本メーカーの製品を設置してください。
一般販売品は鳴りすぎる傾向がありますが、ガス器具から離れた客室などでは一般販売品で対応するほかありません。
3)アルバイト、スタッフさんに周知すること
一酸化炭素の存在すら知らないアルバイトさんが必ずいます。 新人さんには必ずご指導ください。
ダクト火災を防ぐ
排気ダクト内は常に送風されていますので、着火してしまうとダクト内を猛スピードで炎が走る恐ろしい火災です。
ダクト内に油脂や灰が付着し、炭火やガス火から引火します。
1)機能点検すること
特に居抜き物件では、ダクトの見えない部分の油煙が清掃できているか、炎の走りを止める防火バンパーなどが正常作動するか、契約前に点検してもらい、責任の所在を明確にしておく必要があります。
万一、火災が発生した場合は、借主の責任となりますのでご注意を!
2)清掃を心がけること
炭火上部のグリスフィルターやダクト内の油煙や灰の汚れを日々掃除し、掃除できな部分は業者さんに定期点検と清掃を依頼してください。居抜き物件ではすぐに清掃が必要かもしれません。
低温火災を防ぐ「離隔距離」
低温火災とは、タイル張りの壁の中など「見えない部分」で発生する火災です。
長期間加熱された木材が炭化し、ある日突然わずか100〜150度で発火する予想外の火災です。
この火災を防ぐためにも消防法(条例)で囲炉裏〜壁面などまでの離隔距離(りかくきょり)が定められており、強い輻射熱を放つ原始焼きでは特に注意が必要です。
1)火災予防条例による、離隔距離を守ること
「囲炉裏の外枠」〜「壁など」までの距離を確保して、火災を防ぐ必要があります。
※離隔距離は地域により異なることがあります。
周囲50cm以内、上方100cm以内に、設備など固定物がなければ多くの場合、問題ありません。
この範囲に何かある場合は
離隔距離の詳細をご覧ください。
2)実際の温度を確かめること
原始焼きは強い輻射熱を出すので、離隔距離を確保していても危険な場合があります。
使用中に手で触れてみて、必要であれば壁と囲炉裏の間に防熱板を設置してください。
※防熱板は耐熱ガラスや薄いケイカル板を立てるだけでも効果が大きいです。
臭気対策
輻射熱調理は炭火焼きとしては、煙や臭気はかなり少ない方ですが、他の飲食店同様に周囲に住居や飲食店があれば対策が必要になることがあります。
また、炭火の上で焼く一般的な炭火焼を併用すると強烈な油煙がでますので、この場合は特に注意が必要です。
消煙・脱臭装置の設置
対策が必要であれば給排気設備(ダクト)に連結して、煙と臭いを取り除く「消煙・脱臭装置」という特殊な装置が必要です。
「消煙・脱臭装置」の設置は法例で義務付けされていませんが、もし近隣からの苦情があると「悪臭防止法/条例」により、改善を求められることになりかねません。
設備費と継続してメンテナンスにもコストがかかりますが、近隣からの苦情の可能性があればご検討ください。
危険物を置かない
そもそも店内に危険物がなければ何の問題もありません。ご確認を!
◆カセットガスボンベ→ 爆発します
囲炉裏の周囲には絶対に置かないこと。輻射熱により爆発します。店ごとぶっ飛ぶほどの爆発力があります!
◆アルコール類→ 大やけどの危険性
食材に塩をなじませるためにアルコールをスプレーでかけることがあるようですが、噴霧したアルコールには爆発的な引火力があり、超危険です。囲炉裏の近くで使うのは絶対にやめましょう。空調の風でお客様を巻き込む可能性もあります。
アルコールの炎はほぼ透明で見えにくく、容器が燃えていても数秒気づかないので、特に注意が必要です。
必ず「水」や「塩水」を使ってください。